アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症など、依存症には様々な症状があります。そのすべての依存症に対応できる心理療法が、「認知行動療法」です。
認知行動療法では、「アルコール依存症の人がお酒を飲む」「薬物依存症の人が薬を使う」「ギャンブル依存症の人がギャンブルをする」という行動がやめられない理由の1つに、このような行動によって自分が求めている結果(報酬)がもたらされることを学んだためである、ということを患者に説明します。報酬とは、例えば「眠れずに悩んでいた時にお酒を飲んだらよく眠れた」「嫌なことがあり鬱々としていたが薬で楽しい気持ちになれた」「イライラをパチンコで遊ぶことで忘れられた」などといったものです。
このように報酬を学習することによって、依存症の患者は「お酒を飲むことで眠れる」「薬を使えば、疲れていてももうひと頑張りできる」「このパチンコ台は当たる」などというように、行動することでいい結果が得られると強く信じ、まるで必要不可欠なことであるかのように考えてしまうのです。これが強い欲求を生み出し、依存へと繋がってしまいます。
認知行動療法では、このような一連の流れを患者に説明し、理解してもらうことによって、欲求が生まれた時に対処する方法を学びます。「○○しないと□□できない」と考えてしまいがちなのを、「私は○○しなくても□□できる」というように、依存の対象物ではなく、「自分で解決できる」と自分の力を信じられるスキルを身につけていくのです。一朝一夕で考え方を変えられるわけではありませんが、依存しなくても生きていけるよう回復させるための手助けとなります。